山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

異常者の中に正常者が一人いたらそいつは異常である。「恐怖の甘い物一家」1980年

あらすじ

昭和20年代の北海道。そこには世にも恐ろしい超甘党の一家が暮らしていた。
そんな砂糖漬けの一家の中でたった一人、娘の「R子ちゃん」だけは甘い物が一切食べられないという並はずれた甘い物嫌いであった…。


甘党一家の中に一人だけ甘い物ダメな子供として生まれてしまった山岸先生の幼少時のお話。
山岸先生のエッセイ漫画は何気に名作が多いですが、その中でも最高傑作。家族親族が全員、納豆にまで砂糖を入れるレベルの甘党なのでそれが「普通」扱いされ、そこそこ普通の嗜好のはずのR子ちゃんがむしろ「異常」扱いされるという、SFによくある展開になってます。

お母様「お茶など飲んで口の中の甘味を消すなんてもったいない」
お父様「この世で一番うまいものは真っ黒い羊羹だよ」

家族であみだくじをやり、お金を出し合って和菓子を買うという謎の風習の中、塩漬けの桜の葉だけを頼りに道明寺を食べる「R子ちゃん」超けなげ。
子供の頃の世界は家族だけで成り立っていたから、自分の家の食卓がこの世の食事の全てだと思っていた。食べ物は全て甘いと思っていた。自分が甘いものがダメだということにずっと気づかなかった。おまけに学校給食もクソまずかったため、ずっと「偏食の子」として扱われていた。一人で生活するようになって初めて「食事」に興味を持った…。ギャグっぽく描かれてるけど、食べ盛りの子供が食べられるものが身の回りにないとか地獄では…。

し、知らなかった!! アシスタントさんに教えてもらうまで
生玉子も納豆も砂糖ぬきが本当だったなんて!

そして時は経ち、全員甘党の妹家族の子供たちの中で、一人だけ辛党の子を「早期発見」するR子。少食扱いされているその子にしょっぱいものをあげて!と妹さんに言うも、妹さんはその後も他の子と同じように甘いものを食べさせ続けているらしい…という話。…最後にフォローは入ってるけどちょっと怖くないですか? 実はこのエッセイはサイコホラーだったのかも知れない。

収録コミックス

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