ただお互いをむさぼり食うだけの存在。「グール(屍鬼)」1979年
あらすじ
男は海難事故に遭い、奇跡的に無人島に流れ着いた。
島にはすでに一人の女がいた。
その奇妙な島では不思議なほど生き物が捕れず…。
「無理よ。この海の魚は絶対とれないわ。私も何度もやったのよ」
もうずいぶん昔に島に流れ着いたと言う女。なぜか全てに諦め顔の女と対照的に、のろしの準備をしたり魚や鳥を捕ろうと奮闘する男だが、何も捕れないし救助も来ない。
そしてなぜか夜ごと自分を覗き込む奇妙な女…。
最初は無人島に漂着した人間のひかりごけ展開かと思ったんですが、もっと救いようのない話だった。自分の死体が鳥につつかれてる場面を見るってどんな気分だろう。
「なんでもいい。なにかの肉が食いたい! 肉が食いたいんだ!」
死んでる人が果物や海草を食べてるのも謎だけど、魚・鳥・貝なんかの肉だけは決して口に入らないというのが不思議。タイトルがグールだからいつも肉に飢えてる的な? それか肉は人肉しか食べられなくなってるのか?
「互いに互いの肉をむさぼり食う。私達はそんなものになってしまった」
この人たちはなぜグールになっちゃったのか? なんか生前の行いと関係あるのか? 一切の描写がないので怖い。特に何も悪いことしてないなら可哀想。死ぬこともできず永久に果物とワカメと自分の手だけ食べ続けるとか何の地獄だ…。
収録コミックス
- スピンクス(花とゆめコミックス)(白泉社)
- 山岸凉子作品集〈9〉傑作集3 黒のヘレネー(白泉社)
- 山岸凉子全集〈31〉黒のヘレネー(あすかコミックス・スペシャル)(角川書店)
- 山岸凉子恐怖選〈3〉千引きの石(ハロウィン少女コミック館)(朝日ソノラマ)
- 自選作品集 シュリンクス・パーン(文春文庫ビジュアル版)(文藝春秋)
- 山岸凉子スペシャルセレクション〈1〉わたしの人形は良い人形(潮出版社)
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