山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

ただ、男について行くだけの女の怨念。「雨女」1994年

あらすじ

三田数良はその恵まれたルックスで数々の女を物にし、金目的で手にかけてきた。
女たちの愛と怨念に取り憑かれることになるとも知らずに…。


こういう男はモテないでほしい。
ロス疑惑」が元ネタのホラーです。イケメンの数良は女を騙すのが得意。それを悲しげに見つめる奥さん。
私がいるのに彼が家の中に女を呼び込む!
さっきまで家にいたのに山の中にいる!
カラスが寄って来る!
立てない!
声をかけてるのに誰も気づいてくれない!
気づいたらまた家にいる!
この奥さんは自分が死んでることに気づいてません。
さらに、もう一人出てくる女(浮気相手)も死んでる。そして気づいてない。
もうカオス!
数良に騙された女たちは3人出てきますが、最終的には全員死にます。

3人目の女・よし子を殺し、マスコミに対して涙で応答してみせる演技派の数良。だが奥さんの遺体が発見されてしまいます。
今までは奥さんが視点キャラでしたが、ここで一気に切り替わります。『夜叉御前』で読者をびびらせた山岸先生の例のテクニックです。そしてさっきまでの視点キャラ(奥さん)は「ゴミ袋に詰められた死体」になりました。びびった。

この話に出てくる3人の女の霊は「呪ってやる!」という恨みの気持ちはなく、自分が死んだことすら気づかず、ただ愛する数良の後にズルズルついて行くだけの存在。単なる恨みの感情より、こういう「愛だか怨念だかもうよくわからない強い執念」ってのが一番怖い気がする。

マスコミに囲まれながら帰宅する数良。数良のうしろから「長い物」が繋がっていることに、近所に住む少女だけが気づく。

「お母さん、あのおじさん、長い物を引きずってるよ」

罪が暴かれようと暴かれなかろうと
彼は“長物”を引きずっている。
これが人間に憑く背後霊の中でも、もっともたちの悪いものだそうな。

「三田数良」の元ネタこと三浦和義について調べてみたところ、この作品が描かれた14年後の2008年に留置所で首を吊った状態で亡くなったようです。
…「長い物」が首にグルグル巻き付いて死んだんですかね。
………。
…ゾクッとしたところで終了。

収録コミックス

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