親のない子より、子を亡くした親の方が可哀想。「ウンディーネ」1978年
あらすじ
北海道の沼に撮影にやって来た陸田(おかだ)は、沼で溺れていた少女を助ける。
ウンディーネを思わせる可憐な少女・行子(ゆきこ)に魅かれていく陸田だったが…。
「ゆき子って 降る雪?」
「残念ながらそうじゃないの。せっかく北海道で生まれたのにね。
行く子って書いて、行子」
人間嫌いの雑誌記者と、不思議な美少女の淡い恋物語。
しかし山岸漫画において、この手のストーリーのヒロインが生身の人間であるはずもなく。うん…死んでたね…。(※ホラーではないです)
「写真撮ってるならいつかあたしを撮ってくださる?」
「そうだね……でもぼく人を写したことないから、うまくいくかどうかね」
「だって家族の人達とかお友達とかを写すことなかったの?」
「家族はいない。ああどうかしてる。ぼくはいつもはこんなこといわないのに。ごめん」
「ううん、あたしこそごめんなさい。でもこう考えたらいいわ。
親のない子供より、子供をなくした親のほうがかわいそうなんだから、あなたはまだ幸せ。
若くてこれからがあるもの。家族だってこれから作れるわ。ぜったい幸せよ!」
ある時行子はふといなくなってしまう。自分の仕事に執着がなかった陸田が、行子が消えてから「ぼくはカメラマンになってもういちど行子を撮るんだ」と決意する姿は良いです。
モブキャラの鷲見さん(男)のパッツンセミロングとはだけファッションが気になる。
収録コミックス
- ハーピー(サンコミックス)(朝日ソノラマ)
- 山岸凉子恐怖選〈1〉鬼来迎(ハロウィン少女コミック館)(朝日ソノラマ)
- トップレディカラーシリーズ 山岸凉子(朝日ソノラマ)
- 山岸凉子作品集〈9〉傑作集3 黒のヘレネー(白泉社)
- 山岸凉子全集〈23〉ドリーム(あすかコミックス・スペシャル)(角川書店)
- 山岸凉子スペシャルセレクション〈4〉甕のぞきの色(潮出版社)