山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

親子

この家には鬼がいる。「夜叉御前」1982年

あらすじ 15歳の紀子の家は山深い一軒家に引っ越してきた。 最初からその家に良くないものを感じていた紀子は、やがて家の中に「鬼」が見えるようになり、「鬼」に狙われるようになる。 病気の母や幼い弟妹や祖母の世話をしながら鬼と戦う紀子だったが、その…

みんながその子を鬼にした。「鬼」1995年

あらすじ 天保8年。奥州枯野村はひどい飢饉に襲われ、親に不要と判断された子供たちは口減らしのために穴の中に捨てられた。 時は流れ、M美大の民俗学サークル「不思議圏」は寺に合宿に行くことになった。その土地の飢饉について調べていた彼らだが、寺では…

失敗を恐れ続けた女の末路。「天人唐草」1979年

あらすじ 頑固で古風な父と貞淑な母を持つ岡村響子は、子供の頃から「慎みのある素晴らしい女性」になるように厳しくしつけられた。 特に、誇りに思う父の指示は響子にとって絶対だった。父の希望に応えようと精一杯務める響子だったが、父の言うことを聞け…

社会に適合できない天才はどう生きていけばいいのか。「牧神の午後」1989年

あらすじ 1909年。ロシアバレエ団の新人、ヴァーツラフ・ニジンスキーは「アルミーダの館」で衝撃的なデビューを果たし、その異常なまでの才能で人々を驚かせ続けた。 しかしバレエマスター、ミハイル・フォーキンだけは、ニジンスキーの天才性の裏にある「…

兄妹デュオの栄光の影。「グリーン・フーズ」1987年

あらすじ トビーは歌も歌える人気子役。一世を風靡していたトビーだったが、声変わりし、体が成長してしまったことで仕事がなくなる。 一方、歌の才能を見出された気弱なマーシャはトビーと兄妹デュオを組むことになるが…。 「僕がピアノを弾くよ。 マーシャ…

姉さんになり代わりたい。「奈落 タルタロス」1988年

あらすじ 18歳のエブリーヌには2歳上の姉・デルフィーヌがいる。 瓜二つの二人だが、才能ある女優であるデルフィーヌに比べ、エブリーヌは常に「人生の敗者」だった。 何をやっても姉に勝てないエブリーヌは、いつしかデルフィーヌの真似ばかりするようにな…

母は娘に嫉妬する。「鏡よ鏡…(旧題:星の運行)」1986年

あらすじ 14歳の雪のママは美人女優の羽深緋鶴。しかし雪はママに似ても似つかぬニキビ面で「子豚ちゃん」と呼ばれるほど丸々と太ったいじめられっ子だった。ママのような美人に生まれつかなかった自分に落ち込みつつも、ママを誇りに思っていた雪だったが……

異常者の中に正常者が一人いたらそいつは異常である。「恐怖の甘い物一家」1980年

あらすじ 昭和20年代の北海道。そこには世にも恐ろしい超甘党の一家が暮らしていた。そんな砂糖漬けの一家の中でたった一人、娘の「R子ちゃん」だけは甘い物が一切食べられないという並はずれた甘い物嫌いであった…。 甘党一家の中に一人だけ甘い物ダメな子…

娘に捨てられたら生きていけない。「メディア」1997年

あらすじ 有村ひとみはバイトに就職活動に忙しい短大2年生。夫に不倫されている母親はひとみを溺愛し、ひたすら尽くそうとする。このままではいけないと思ったひとみは母から自立しようと留学を決意するが…。 母がしんどい。 夫に捨てられた代わりに、娘のひ…

どうしてお姉ちゃんばかり…。「常世長鳴鳥」1985年

あらすじ 中学生の雪影(ゆきえ)は、家族の愛情を一身に受ける美しい姉・花影(はなえ)を幼い頃から憎んでいた。自分の将来、好きな人まで奪われそうになった雪影は、ある行動に出る…。 どう考えても家族が悪い。 美しい姉・花影は冒頭からいきなり川には…

白馬の王子様は息子。「鬼子母神」1993年

あらすじ ごく平凡な家庭に生まれた瑞季。しかし瑞季は生まれながらにして「悪魔」で、双子の兄は生まれながらにして「王子様」だった。さらに、母は「菩薩様」で、父は「表札」だった。成績優秀な兄は母に過大な期待を寄せられ、出来の悪い瑞季はぞんざいに…

不倫の果てに幸せはあるのか。「貴船の道」1993年

あらすじ 不倫相手・和茂の妻が病死し、晴れて結婚することができた真紀子。慣れない主婦業や、元妻の残した二人の子供とギクシャクする中で、和茂にはまた別の愛人の気配が。元妻・晴美の苦しみを追体験する真紀子。そして真紀子は晴美の幽霊らしきものを見…

おまえはママなしでは生きていけないのよ。「スピンクス」1979年

あらすじ 「僕」は魔女の館に住んでいた。「僕」は真っ白な部屋に来る日も来る日も立っていた。毎日毎日「スピンクス」がやって来て「僕」に質問をする。声も出ず体も動かせない「僕」は「スピンクス」に弄ばれる。そんなある日、知らない男の人がアーチーの…

天使って本当にいるのかな。「愛天使(セラピム)」1977年

あらすじ 大学へ通うため(という名目で)、母を捨てた父の新しい家庭に住み込むことにした水穂。水穂はその家の庭で、何故か離れに一人住む優樹という少年と出会う。 守りたい、この笑顔。母から父を奪った憎い女と父の家庭に乗り込み、波風でも立ててやろ…

心理的虐待、ダメ、絶対。「赤い髪の少年」1973年

あらすじ 大学院生のエマニュエルは従兄の家に招かれた。そこの息子のステファヌは「にんじん」と呼ばれ、母親セブリヌから心理的虐待を受けていた。 「なぜ彼のことをにんじんと呼ぶのです? 髪が赤いからですか?」「あの子の心ときたら髪よりすごい色なん…

ママン、あたしは醜いの?「ラプンツェル・ラプンツェル」1974年

あらすじ 若き植物学者のオクターヴは、塔の中に住む美しい少女ミケティと出会う。ミケティは母親に「おまえは醜い」と言われ続けながら育てられていた。 「マ、ママン、あたしはみにくいの?」「そうよミケティ。外にでたらころされるわ」 ものすごい美少女…

継母とポルターガイスト。「顔の石」1991年

あらすじ 30の大台に乗った妙子は「42の再婚のオジンでしかも中2のコブつき」と結婚した。 結婚相手の平山の娘・千愛(ちえ)は明るく素直でしっかりしたいい子で、妙子のことを「ママ」と呼んでくれる。 順調な結婚生活のように思えたが、平山家では不思議…

パパは僕が苦しい時だけやって来る。「コスモス」1987年

あらすじ 小学生の裕太は喘息持ち。発作が起こるとママはいつも心配そうに裕太を看病してくれる。 優しいママがパパの会社に電話をかけると、パパが帰ってきて車で病院に連れて行ってくれるのだった。 個人的に山岸サイコホラーの最高傑作。わたくし、この話…

それは自分にも見えない悪意。「瑠璃の爪」1986年

あらすじ 上杉絹子(28)は、実姉の敦子(31)を刺し殺した。 その後、複数の関係者の証言によって姉妹の関係は少しずつ浮き彫りになっていく。 「関係者への取材」という形をとった構成の臨場感がすごい。本当にこういう事件があったんじゃないかと思ってし…

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