山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

あの日の広島。「夏の寓話」1976年

あらすじ

広島のおじの家の留守番を頼まれた大学生・澄生は、謎の女の子と出会う。
とても内気で自分の名まえも家も教えてくれない女の子と仲良くなった澄生は、ある夜不思議な幻を見る。


「きみ、なんて名まえなの」
「…………わかんない」

自分の名前も家もわからないまま、ひたすら広島の町を彷徨う女の子・スミちゃん(澄生命名)の所在なさげな様子が悲しいです。
ある夜、線香花火を通してスミちゃんの記憶を垣間見る澄生。カレンダーの日付は8月6日。広島原爆投下の日。

手が 足が 燃えちゃう
燃えちゃう こわい

原爆が落ちるシーンの真っ白い見開きは編集部に「真っ白じゃ原稿料支払えない。せめて枠線を引いてくれ」と言われたそうな(スペシャルセレクション6の創作秘話より)。
「あたし燃えた……」と立ったまま燃えてる女の子の絵めちゃくちゃ怖い。
留守番が暇すぎて毎日一人でぼーっとしてた澄生はスミちゃんと波長が合っちゃったのかな。
山岸作品には自分が死んだことに気づかずにさまよう人物が多く出てきます。
この作品が描かれたのは原爆投下から30年後。今年は戦後75年前。スミちゃんのような子はまだいるのか。

収録コミックス

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