山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

不倫の果てに幸せはあるのか。「貴船の道」1993年

あらすじ

不倫相手・和茂の妻が病死し、晴れて結婚することができた真紀子
慣れない主婦業や、元妻の残した二人の子供とギクシャクする中で、和茂にはまた別の愛人の気配が。元妻・晴美の苦しみを追体験する真紀子。
そして真紀子は晴美の幽霊らしきものを見るようになるのだが…。


真紀子のドキドキ後妻ライフ。
山岸作品の不倫ものには珍しく、不倫相手の後添え(この言葉も古くさいですね)になれた女性のケース。同じく不倫ものの『月氷修羅』の朗子とはちょうど逆の選択をしています。朗子があのラストで結婚を受け入れていたらこんなかんじになっていたのかも…という見方もできるパラレル的な面もある作品。

「晴美さんより先に会っていれば和茂さんと結ばれたのはわたしだった」と思っていた元愛人・真紀子も、結婚してみれば再び和茂が別の女と会ってるかのようなそぶりに、今度は晴美と同じく「妻」として悩まされます。和成さんは「二日続けて着たのにワイシャツの衿が汚れてない」ことなどから浮気を疑われます。不倫経験者にしかわかんないやつ〜。

これは天罰なのか。わたしが以前やったことをやり返される。
そして和茂さんは前と同じことを平気で繰り返すの!?

全体的に大人っぽい「男女の業」というテーマの中にも山岸先生らしいホラー要素あり。うしろ向きのまま近づいてくる元妻とか、「チューリップの芽かと思ったら人の指だった」はかなり怖いです。

そうか、和茂さんは母親になってしまった妻には興味はなくなるのね。
山岸先生によく出てくるタイプの男。

“女の業”とは男の業によって呼び活けられるのだ。
妻だけではあきたらない“男の業”によって。
では古来から言うところの業の深いのは、女ではなく男ではないのか。
いや、そうではない。業とは男も女も等しく持っているものなのだ。

結局和茂は本当に浮気してたのか、真紀子の思い過ごしだったのかはわからないのですが、最終的に破滅しなかったラストは不倫ものとしてはけっこう珍しい。
最後では草太くんも真紀子に懐いてくれたし、これからは真紀子を山岸不倫界の勝者と呼ぶことにしましょう。

収録コミックス

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