山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

他人を無視しないと自分を守れない。「メデュウサ」1979年

あらすじ

その目で見た人間全てを石に変える女・メデュウサ。人一人石に変えるたび、メデュウサの体にはヒビが入る。
しかし世話人ニコラだけは石になることはなかった。ニコラと過ごしていると、メデュウサの蛇の髪は普通の髪の毛に戻り、ヒビもなくなった。
だがニコラが寝言で男の名を呟く時、メデュウサの髪は再び蛇に…。


リア充爆発しろとばかりにアベック達を石に変えるメデュウサ(めっちゃ独り言が多い)。
メデュウサは世話人(実際は単なる金食い虫の半居候)の不良娘・ニコラにだけは安らぎを見出しますが、ニコラはしょせんメデュウサの財産だけが目当ての勝手な女でした。
メデュウサ、蛇の髪じゃなくなると「ちょっと太った厩戸王子」っぽいです。

「髪が蛇でないのはなかなか気持ちがいい」
あ、メデュウサさんも自分の髪が蛇なのはやっぱ気持ち悪いんですね。何だろう、トイレの花子さんに「トイレとか飽きた」と言われたような気持ち。

このメデュウサ目線の奇妙な話、他の山岸作品を読んでる人ならピンと来ると思います。そう、「メデュウサ」という設定はこの精神を病んだ女の脳内設定であって、「人を石に変える」というのは「人を無視する」のメタファーなわけです。
自分を傷つけるもの全てを石に変えて無視するメデュウサ。でもそのたびに自分のどこかにヒビが増える。
「わたしの身体はひびだらけ」のシーンのメデュウサのポージング、なんか無駄にかっこいいです。

「舞台がどっか外国」「何気にお金持ち」「世話人として来た不良娘とレズビアンな関係」…のあたりがあまり現実感ないので平気で読めますが、この話、舞台と設定がもっと身近だったら読んでて相当グサグサ来るだろうな…。

一見性格も頭も悪そうなギャルのニコラですが、メデュウサに対して「イミわかんないワラ」とかではなく、「あんな風に他人を無視しないと生きていけない奴なんかに同情はしてやらない!」とそれなりに理解した上でメデュウサを軽蔑してるのがちょっと意外で感心しました。おまえ頭いいじゃん。

収録コミックス

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