山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

雨の日、未来の娘がやって来る。「雨の訪問者」1979年

あらすじ 独身貴族の久仁子のアパートに、ある日突然ベルと名乗る小さな女の子が現れた。まるで昔から一緒に暮らしていたかのように親しげに振る舞うベルを、久仁子は不思議に思うが…。 原理はわからないけど、ほのぼの。山岸作品の中でも数少ない、最初から…

おまえはママなしでは生きていけないのよ。「スピンクス」1979年

あらすじ 「僕」は魔女の館に住んでいた。「僕」は真っ白な部屋に来る日も来る日も立っていた。毎日毎日「スピンクス」がやって来て「僕」に質問をする。声も出ず体も動かせない「僕」は「スピンクス」に弄ばれる。そんなある日、知らない男の人がアーチーの…

あの日の広島。「夏の寓話」1976年

あらすじ 広島のおじの家の留守番を頼まれた大学生・澄生は、謎の女の子と出会う。とても内気で自分の名まえも家も教えてくれない女の子と仲良くなった澄生は、ある夜不思議な幻を見る。 「きみ、なんて名まえなの」 「…………わかんない」 自分の名前も家もわ…

恋に思い詰める年頃。「ハーピー」1978年

あらすじ 高校生の佐和春海は、同級生の美少女・川堀苑子にだけ、死臭のような奇妙な「臭い」を感じるようになる。死臭を振りまきながら自分を誘惑する苑子を、佐和は女面鳥獣の化け物「ハーピー」なのだと思うようになり、正体を暴いてやろうと思う。 最初…

親のない子より、子を亡くした親の方が可哀想。「ウンディーネ」1978年

あらすじ 北海道の沼に撮影にやって来た陸田(おかだ)は、沼で溺れていた少女を助ける。ウンディーネを思わせる可憐な少女・行子(ゆきこ)に魅かれていく陸田だったが…。 「ゆき子って 降る雪?」「残念ながらそうじゃないの。せっかく北海道で生まれたの…

肉体を捨てたストーカー。「バンシー」1979年

あらすじ わけも分からず夜の森を彷徨う美少女は、ある小説家の家に辿り着くが、誰にも気づいてもらえない。オールドミスのドロシイは下宿の窓から、ある小説家の家を双眼鏡で見つめる。 子供たちの間では、バンシー(泣き女)が出るという噂が立っていたが……

代々殺人鬼の家系。「ねむれる森の…」1974年

あらすじ リュシアンは、婿養子に入った友人・レイモンに招待され、レイモンの住む古城にまでやって来た。しかしそこにはレイモンはおらず、城にはレイモンの妻であるヴェルヴェヌと醜悪な老婆しかいなかった。リュシアンはその城にしばらく滞在することにす…

天使って本当にいるのかな。「愛天使(セラピム)」1977年

あらすじ 大学へ通うため(という名目で)、母を捨てた父の新しい家庭に住み込むことにした水穂。水穂はその家の庭で、何故か離れに一人住む優樹という少年と出会う。 守りたい、この笑顔。母から父を奪った憎い女と父の家庭に乗り込み、波風でも立ててやろ…

人魚は報われない恋をしがち。「わたしの人魚姫(ネプチュナ)」1974年

あらすじ ジョリーは砂浜に倒れていた少女・ネプチュナを発見する。記憶喪失のネプチュナを世話をするうちに、足を与えられた人魚姫を思わせる美しい彼女に惹かれていくジョリーだったが…。 きみが人魚姫なら……王子さまはぼく? 山岸先生の淡い恋物語といえ…

神は人間を黄金で作った。「パニュキス」1976年

あらすじ 本とごっこ遊びが大好きなハリーとネリー。兄妹はいつも二人だけの空想の世界に住んでいた。生まれた時から片時も離れなかった二人だったが、ある日別離の時が訪れて…。 最初兄妹の近親相姦ものかと思った。 そしてハリエットおばさんがパン焼き窯…

牧神として育てられた子供。「シュリンクス・パーン」1976年

あらすじ 大学を卒業したばかりの新人小説家オシアンは、亡くなった叔父の屋敷を受け継ぐが、そこにはシュリンクス・パーンと名乗る謎の少年がいた。オシアンとシュリンクスは奇妙な半同居生活を始める。 その一、オールド・バターシー・ハウスの所有者とな…

幽霊と根比べ。「だれかが風の中で…」1973年

あらすじ 盲目の少年ジュールのピアノ教師兼看護婦としてラガッシュ家にやって来たニコル。ジュールは少しずつニコルに心を開いてくれるようになる。しかしニコルはその家でたびたび謎の少女の姿を見かけ…。 「彼女はね、母親にすてられたんだ。再婚のじゃま…

心理的虐待、ダメ、絶対。「赤い髪の少年」1973年

あらすじ 大学院生のエマニュエルは従兄の家に招かれた。そこの息子のステファヌは「にんじん」と呼ばれ、母親セブリヌから心理的虐待を受けていた。 「なぜ彼のことをにんじんと呼ぶのです? 髪が赤いからですか?」「あの子の心ときたら髪よりすごい色なん…

ひたすらダベるお姫様たち。「月の絹」1987年

春は弥生の佐保姫。十代前半。食べ盛りの末っ子。夏は夜空の夕星(ゆうづつ)姫。彼氏ありで人生の絶頂期。秋は紅葉の竜田姫。不倫真っ最中。厚化粧。冬は吹雪の打田姫。お墓コンサルタント。男運はないが自立している。 春夏秋冬のお姫様姉妹たちがひたすら…

それは、彼女にだけ見える友達。「ティンカー・ベル」1973年

あらすじ ダフニーのたった一人の友達は、小さい頃から側にいたティンカー・ベルだけだった。ダフニーが悲しい時、ティンカー・ベルだけがいつも彼女を慰めてくれていたが、ある日出会ったギーと親しくなるにつれて、ティンカー・ベルは彼女の目に見えなくな…

ママン、あたしは醜いの?「ラプンツェル・ラプンツェル」1974年

あらすじ 若き植物学者のオクターヴは、塔の中に住む美しい少女ミケティと出会う。ミケティは母親に「おまえは醜い」と言われ続けながら育てられていた。 「マ、ママン、あたしはみにくいの?」「そうよミケティ。外にでたらころされるわ」 ものすごい美少女…

継母とポルターガイスト。「顔の石」1991年

あらすじ 30の大台に乗った妙子は「42の再婚のオジンでしかも中2のコブつき」と結婚した。 結婚相手の平山の娘・千愛(ちえ)は明るく素直でしっかりしたいい子で、妙子のことを「ママ」と呼んでくれる。 順調な結婚生活のように思えたが、平山家では不思議…

夢見がちもここまで来ればプロの域。「ドリーム」1978年

あらすじ 岡元由子(ゆず)は母の再婚によって、クラスメイトの周防薔子(すおうしょうこ)のいとこになった。 旧家である周防家に遊びに行った由子は絶世の美女・丹穂生(におう)と出会い、周防家の夢のような生活に酔うが…。 登場人物の名前が読めない。…

ピエロと王子様。「かぼちゃの馬車(旧題:「12時の時の精」)」1974年

あらすじ シンデレラストーリーを夢見て遠縁のトレヴァス家にやって来たのに、いとこで当主のシリル卿の小間使いにされてしまったクラシニーラ。 シリルの側にはいつもピエロと呼ばれる男の子がいて…。 初期のかわゆいラブコメですね。ええ。はい。(恋愛も…

スプーン曲げてどうすんの?「二日月」1990年

あらすじ 中学3年生になったえりは転校生の菊池という女子と隣の席になるが、菊池は何かというと自分の「超能力」や「予言」を誇示する。やがて菊池はその超能力でえりとBF・伊達との仲を裂こうとしてくるが…。 超能力しかとりえのない地味女子VS普通の女子…

パパは僕が苦しい時だけやって来る。「コスモス」1987年

あらすじ 小学生の裕太は喘息持ち。発作が起こるとママはいつも心配そうに裕太を看病してくれる。 優しいママがパパの会社に電話をかけると、パパが帰ってきて車で病院に連れて行ってくれるのだった。 個人的に山岸サイコホラーの最高傑作。わたくし、この話…

それは自分にも見えない悪意。「瑠璃の爪」1986年

あらすじ 上杉絹子(28)は、実姉の敦子(31)を刺し殺した。 その後、複数の関係者の証言によって姉妹の関係は少しずつ浮き彫りになっていく。 「関係者への取材」という形をとった構成の臨場感がすごい。本当にこういう事件があったんじゃないかと思ってし…

そして少女は神になってしまった。「時じくの香の木の実」1985年

あらすじ 正妻の娘・日向、妾の娘・日影。 ほぼ同時に8歳になった二人は、巫女である大叔母の屋敷に連れてこられ、どちらが跡継ぎとなるかが試される。差し出されたのは奇妙な果実…。 「それを食べるのです。それを食べるとおまえ達のどちらかが 永遠に年を…

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