山岸凉子漫画感想ブログ

山岸凉子先生の漫画作品の感想を書いていきます。普通にネタバレしてますのでご注意ください。

笛を吹く時、何かが起こる。「笛吹き童子」1986年

笛にまつわる短編二本立て。 第1話「石笛」 山梨のとある旧家。亡くなった祖父の葬式にやって来た親戚は、宝の山(遺品)を漁りに来たハイエナばかり。 残された祖母は曾孫である美沙ちゃんに倉の鍵を渡し、「石笛(いわぶえ)」という古い笛を渡します。お…

人は誰だって褒められて伸びるタイプなんだよ!「ブルー・ロージス」1991年

あらすじ 黎子(たみこ)は男性と付き合ったことがないまま30歳になろうとするイラストレーター。 子供の頃から優秀な妹と比べられて育ったせいで自分に自信が持てずにいた黎子だが、ある時男性編集者の和久と出会ったことで、黎子の人生は少しずつ変わりは…

ネジを巻くのが日課です。「ネジの叫び」1971年

あらすじ 造船王の娘・セシルは同じ大学のジョージと結婚した。 しかしジョージは財産目当てでセシルと結婚しただけだった。 ある日、二人が乗っていたヨットが嵐で転覆する。ジョージは好都合とばかりにセシルを見殺しにするが…。 財産目当てだった夫を死ん…

おしゃれ道は死後も続く!「着道楽」1993年

あらすじ とっておきの桜の着物を着て母の法事へ行こうとする志麻子。 しかし着替えてもいないのにいつの間にか法事の時間になってしまった。 着替えるために家へ急ごうとする志麻子だが…。 山岸先生といえば、ストーリーと関係ないところでお着物を描きたが…

海で死んだあの子の記憶。「海の魚鱗宮」1985年

あらすじ 娘の和美を連れて、久しぶりに郷里へ里帰りした寿子(としこ)。無意識のうちに自分の郷里を嫌っていたことに気づいた寿子は、その原因である、昔海で溺れて死んだ「奈保子ちゃん」という少女のことを思い出す。 あの夢の中の女の子は……ナ・ヲ・コ……

真っ白なレースの下の、甘く劣悪な臭い。「星の素白き花束の…」1986年

あらすじ 亡くなった父の愛人の娘(異母妹)を引き取ることにしたイラストレーターの聡子。 初めて会う異母妹の夏夜(かや)は中学3年生。 夏夜は聡子のイラストから抜け出てきたような可憐な美少女だったが、異常なほど無口で陰気で偏食、そして男にだけは…

まさかこれで終わりじゃないでしょ?「ある夜に」1981年

8ページの短いお話。『化野の…』と似た「死者が町を歩く」話ですが、あっちの主人公は自分が死んだことに気づいてないのに対して、こっちの女性達は全員理解してあの世へ向かってます。 4人の女性が町を歩く。一人は華の道、一人は砂の道、二人は石の道を歩…

他人を無視しないと自分を守れない。「メデュウサ」1979年

あらすじ その目で見た人間全てを石に変える女・メデュウサ。人一人石に変えるたび、メデュウサの体にはヒビが入る。 しかし世話人のニコラだけは石になることはなかった。ニコラと過ごしていると、メデュウサの蛇の髪は普通の髪の毛に戻り、ヒビもなくなっ…

押入れを開けるのが怖くなる。「押し入れ」1997年

山岸先生が美内すずえ先生から聞いた「他人のフンドシ」恐怖話。けっこう勇気を出さないと読み返せないホラーです。 押し入れとか箪笥(観音開きのやつ)ってむやみに怖いですよね! 人が入れる大きさがあるからかな。 この話は美内先生のアシスタントさんが…

死んだ後こんなだったらすげーやだ。「化野の…」1982年

あらすじ 「私」は会社帰りに道に迷ってしまった。歩けども歩けども知っている道に出ない。早く家に帰りたいのに、いつまで経っても家に辿り着かない…。 早く家に帰らなくちゃ…… 主人公(多分本当はもう死んでる?)が延々彷徨い歩くだけのお話。 知らない道…

グレるって健康的かも知れない。「木花佐久夜毘売」1986年

あらすじ 高校生の典子には3歳上の姉がいる。姉の咲耶は子供の頃から優等生で、両親は咲耶ばかり可愛がっていた。さらに自分の名前「典子」まで「たった3歳の咲耶が名づけた」という自慢話の種にされ続けた典子はすっかりひねくれてしまっていたが…。 山岸先…

母は娘に嫉妬する。「鏡よ鏡…(旧題:星の運行)」1986年

あらすじ 14歳の雪のママは美人女優の羽深緋鶴。しかし雪はママに似ても似つかぬニキビ面で「子豚ちゃん」と呼ばれるほど丸々と太ったいじめられっ子だった。ママのような美人に生まれつかなかった自分に落ち込みつつも、ママを誇りに思っていた雪だったが……

妙子ちゃんは見た目と中身のギャップがすごい。「学園のムフフフ」1974年

あらすじ 高校生になったばかりの伸江は優等生だが「ユニークな人材」を望む面食い。伸江と仲良くなった妙子はおしとやかな美人で伸江とは正反対。しかし妙子はただの美人ではなかったのだった。 「校舎の2階から飛びおりるの負けたほうがラーメンおごろうっ…

少女の死体を求める市松人形。「わたしの人形は良い人形」1986年

あらすじ 昭和21年。初子という少女が事故で死んだ。葬儀では副葬品として立派な市松人形が添えられたが、どういうわけかその人形は初子と一緒に焼かれないまま箪笥に仕舞われてしまった。それ以来、人形は女の子の死体を求めるようになる…。 「このお人形あ…

異常者の中に正常者が一人いたらそいつは異常である。「恐怖の甘い物一家」1980年

あらすじ 昭和20年代の北海道。そこには世にも恐ろしい超甘党の一家が暮らしていた。そんな砂糖漬けの一家の中でたった一人、娘の「R子ちゃん」だけは甘い物が一切食べられないという並はずれた甘い物嫌いであった…。 甘党一家の中に一人だけ甘い物ダメな子…

絶世の美女の自覚なき悪意。「黒のヘレネー」1979年

あらすじ 絶世の美女ヘレネー。彼女はいつでも美しく、素直で、微笑みを絶やさず、誰にでも優しく、そして誰からも愛された。しかし彼女の美しさは知らず知らず周りを不幸へと導いていった…。 「その女のまわりは禍々しい黒いものでいっぱいだ!」 この話す…

40歳を過ぎた永遠の妖精。「クリスマス」1976年

あらすじ 親戚を転々としていた少年・ジョルジュは、フォーク家に居候することになった。 ジョルジュを厄介者扱いする大人ばかりの家で、年の離れた従姉のミス・スックだけはジョルジュに優しかった。俗世間と切り離されたような暖かい台所で過ごしたジョル…

努力しない人間は食べちゃうぞ。「八百比丘尼」1982年

あらすじ 私立女子高生の江崎はつまらない日常にうんざりしていた。しかし夏休みを前にしたある日、八重子という美少女に声をかけられた江崎は彼女の家に遊びに行くことに。八重子の家には八重子そっくりの顔をした母と叔母がいた。 東京へ来ればなにかいい…

オール実話の怖い話。「読者からのゆうれい談」1983年

73年の『ゆうれい談』から10年の時を経て、続編。当時『ゆうれい談』を発表した後に山岸先生へ届いた、「霊的体験を綴った、おびただしい数のお手紙」の中からいくつかピックアップされた怖い話です。3話しか入ってないですが。短い。かくれんぼをしていた女…

えっ、おにぎりの具を当てる能力めっちゃ欲しい…。「ゆうれい談」1973年

山岸先生が漫画家仲間から聞いた「幽霊談」を一挙公開!「手ぬぐいを巻いた幽霊、柳の精霊に恋された姉、幽霊に脚を引っ張られて膝がはずれた少女、窓を叩き続ける左手…。実際にあった怖い話、それと私の好きな「不思議で奇妙な話」もちゃんと入ってて嬉しい…

人間には制御できない巨大な力。「パエトーン」1988年

あらすじ 全世界を震撼させたチェルノブイリ原発事故。そして、日本にも続々と作られている原子力発電所。その恐ろしさも知らず、人類は制御できない日輪の馬車を駆っている愚かな「パエトーン」と同じなのではないだろうか? 原発への問題提起作品。 チェル…

不倫ってハードスケジュール。「蜃気楼」1990年

あらすじ 昌彦は結婚して5年目の妻・春枝と一人娘をもつ、ごく普通の会社員。しかし昌彦には星子という愛人がいた。妻と愛人、どちらにも優しくバランスよく付き合っているつもりの昌彦だったが、その均衡は少しずつ破られていく…。 不倫男の朝は早い。「不…

3人の女性の物語。「三色すみれ」1973年

3話入りのオムニバス。3人の女性の物語です。エピソードごとに時代が飛ぶのですが、ヒロインたちが着てるドレスがちゃんとロマンティックスタイル→エンパイアスタイル→アール・ヌーヴォーと変化していて細かいです。時代考証ちゃんとしてる。 第1話「雫」 ル…

娘に捨てられたら生きていけない。「メディア」1997年

あらすじ 有村ひとみはバイトに就職活動に忙しい短大2年生。夫に不倫されている母親はひとみを溺愛し、ひたすら尽くそうとする。このままではいけないと思ったひとみは母から自立しようと留学を決意するが…。 母がしんどい。 夫に捨てられた代わりに、娘のひ…

ニコ、それセイレーンやないお母さんや。「セイレーン」1977年

あらすじ 写真を撮りにギリシャにやって来たカメラマン。そこには「必ず船が沈む」と言われる聖域「セイレーンの岩」と、不思議な少年・ニコがいた。どうしても「セイレーンの岩」から潮流を撮りたいカメラマンはニコに案内してもらうが。 「セイレーンは伝…

どうしてお姉ちゃんばかり…。「常世長鳴鳥」1985年

あらすじ 中学生の雪影(ゆきえ)は、家族の愛情を一身に受ける美しい姉・花影(はなえ)を幼い頃から憎んでいた。自分の将来、好きな人まで奪われそうになった雪影は、ある行動に出る…。 どう考えても家族が悪い。 美しい姉・花影は冒頭からいきなり川には…

(自分に都合の)良い人と結婚したい!「二口女」1992年

あらすじ イラストレーターの由良子(ゆらこ)は、今年こそ結婚しようと次々にお見合いを繰り返すが、気に入る男性が一人もいない。由良子の姪・紫(ゆかり)は由良子のお見合いを観察するうちに、女のエゴ、男のエゴを知るのであった。 「3高なんていってる…

白馬の王子様は息子。「鬼子母神」1993年

あらすじ ごく平凡な家庭に生まれた瑞季。しかし瑞季は生まれながらにして「悪魔」で、双子の兄は生まれながらにして「王子様」だった。さらに、母は「菩薩様」で、父は「表札」だった。成績優秀な兄は母に過大な期待を寄せられ、出来の悪い瑞季はぞんざいに…

不倫の果てに幸せはあるのか。「貴船の道」1993年

あらすじ 不倫相手・和茂の妻が病死し、晴れて結婚することができた真紀子。慣れない主婦業や、元妻の残した二人の子供とギクシャクする中で、和茂にはまた別の愛人の気配が。元妻・晴美の苦しみを追体験する真紀子。そして真紀子は晴美の幽霊らしきものを見…

究極の尽くすタイプ。「イシス」1997年

あらすじ 王の座に着いたオシリスは、妹のイシスと結婚させられる。しかしイシスは不気味な白髪と不思議な力を持っていたため、オシリスは彼女を厭う。一方、オシリスの双子の弟であるセトはオシリス暗殺を企んでいた。 イシスはこいつのどこが好きなのか。…

[山岸凉子漫画感想ブログ]は、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムである、Amazonアソシエイト・プログラムの参加者です。